いびき、夜間の頻尿(何度も目が覚める)、起床時の頭痛、日中の眠気、だるさ、集中力の欠如、記憶力の低下、性的欲求の減退、イライラするなどを認めます。日居眠り運転や不注意による事故などにつながることもあります。また、高血圧、脳卒中、心筋梗塞、不整脈などを引き起こす危険性も高まります。
睡眠中に呼吸ができなくなるのは、空気の通り道である気道が塞がってしまうからです。
気道が塞がる原因としては、肥満によって喉の周りに脂肪がつく、扁桃が大きい、顎が小さいことなどがあげられます。首が太い方はなりやすく、男性の場合43㎝以上、女性の場合38㎝以上でリスクが増加します。発症は男性が女性の2倍で、中年以降に多くなってきます。
生活習慣では、喫煙する方や寝酒をする方、睡眠薬を常用している方もなりやすいです。
肥満の場合は、まずダイエットに取り組んでください。減量により睡眠時無呼吸症候群の完治とまでは言えませんが、軽症化が期待できます。節酒、禁煙、睡眠薬の適正使用も大切です。また、睡眠中に横向きで寝ることにより無呼吸を減らせる場合があります。横向きに眠る習慣をつけるために、パジャマなどの背面にポケットを縫い付けテニスボールを入れてみることもお薦めです。
中等症~重症の睡眠時無呼吸症候群の標準的治療は、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)です。CPAPはマスクを介して持続的に空気を送ることで気道が塞がらないようにする治療法です。軽症の場合には、下あごを前方に移動させるマウスピース(口腔内装置)を用いることもあります。
重症の睡眠時無呼吸症候群は、無治療であった場合、8年生存率が63%であったと報告されています。
決して侮ることのできない病気ですが、しっかりと治療すれば健常人と生存率はほとんど変わらないと考えられています。