「階段を上るときに息切れがする」「咳や痰が多くなった」「呼吸をするときに、ゼイゼイと音がする」といった自覚症状はありませんか?
40歳以上の方であれば、COPD(シーオーピーディー)の可能性があります。
あまり聞きなれないかもしれませんが、COPDは日本での患者数、約530万人と推定される、ありふれた病気です。年齢とともに有病率は高まり、70歳以上では6人に1人という頻度にもかかわらず、「きっと年のせいだろう」と思い込み、検査を受けず、大多数はCOPDの診断をされていないのが現状です。
最大の原因は喫煙であり、喫煙者の15-20%がCOPDになります。
タバコを吸わない方でも4.7%がCOPDになっており、副流煙による「受動喫煙」も原因となります。また、粉じん、大気汚染、乳幼児期の呼吸器感染、遺伝なども原因としてあげられます。
診断には「スパイロメーター」という機器で呼吸機能検査を行います。
息を深く吸い込んで思い切り最後まで吐き出したのが肺活量ですが、最初の1秒間に吐き出す空気の量が肺活量に占める割合が1秒率で、1秒率が70%未満であれば、COPDが疑われます。
COPDは肺(肺胞)の一部が壊れ、呼吸機能が低下しています。壊れたものを元に戻すことはできませんが、早く病気を発見して治療を続ければ、症状と生活の質を改善し、病気の進行を抑制することが可能です。
予防でも治療でもまずは禁煙です。治療薬としては、気管支を広げる吸入薬や痰をきれやすくする薬などが用いられます。
また、息切れがするので日常生活で動かなくなりがちです。それによって筋力が落ち、さらに軽い運動でも苦しくなる、という悪循環になりがちです。病気を進行させないために、ウォーキングなどの軽い運動や腹式呼吸などが効果的です。
インフルエンザや肺炎にかかった場合にCOPDは重症化する危険性がありますので、それぞれの予防接種もお勧めします。
COPDは肺の病気ですが、肺ばかりではなく、虚血性心疾患や骨粗しょう症、糖尿病など全身に様々な病気を引き起こすので、早めの診断が大切です。
心当たりのある方は、当院にご相談ください。